島正博(Masahiro Shima)

 
参考文献
https://www.shimaseiki.co.jp/company/dna/history/
https://www.shimaseiki.co.jp/company/dna/founder/
https://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/2016/0121/
https://macs.mainichi.co.jp/fashion/kako/11_20.html
https://www.shimaseiki.co.jp/wholegarment/business/
 

10代の頃から発明少年として活躍

 
昭和12年生まれ。
和歌山県和歌山市出身。
 
8歳の頃(終戦間際の時期)に父を戦争で亡くして貧しい境遇に。
 
戦後の少年時代から好奇心旺盛で鋭い観察力をもち、
中学生になると近隣の修理工場で働き始め、
10代半ばから後半にかけて
「ゴム入り手袋編み機」
「二重環かがりミシン」
などを発明。
 
 

1960年代初頭に会社を設立/横編機業界のトップに

 
1956年に県立和歌山工業高校(定時制コース/機械科)を卒業したのち、
手袋編み機の全自動化に向けて動き出し、1961年に
島精機製作所の前身となる会社(三伸精機株式会社)を共同で設立。
(私生活では1961年、のちに2代目社長に就任する事になる長男・三博さんが誕生)
 
しかし「半自動装置」にこだわる共同設立者、
対称的に「全自動装置」開発をしようとする正博氏との間に亀裂が生じ、
共同設立者とは袂を分かち(離別し)、
24歳だった1962年に島精機製作所という会社を新たに設立。
 
そして早速「全自動手袋編み機」の開発に取り組み始め、
2年後の1964年、遂に「全自動手袋編み機(角型)」の開発に成功。
 
1967年には横編機業界に進出し、
同年中に世界初の全自動フルファッション衿編機「FAC」を発表。
1970年代後半には横編機業界のリーディングカンパニーへと成長。
 
 
横編機業界でトップに立つと今度は
まだパソコンが日本でほとんど普及していなかった時代に
コンピュータ制御の横編機を開発し始めた。
 
 

1995年にホールガーメント横編機の開発に成功

 
 
1990年には大証2部上場を果たした中、
1995年には遂に世界初となる
「ホールガーメント横編機(完全無縫製型横編機)」の開発に成功させて
イタリアのミラノで発表すると「東洋のマジック」と絶賛され、
国内外に衝撃を与えると共に、改めて正博氏の発明家としての才能に注目が集まる。
 
1997年に還暦を迎えてからも、
次々に革新的な機械/システムの開発に成功。
 
2002年にはこれまでの功績が高く評価され、
国内最大のファッションアワード「毎日ファッション大賞」にて
グランプリの津森千里と共に鯨岡阿美子賞という特別賞を受賞。
また同年には国から「藍綬褒章」も授与される。
 
2007年に70歳を迎えたのち、
2010年代に入ってからも精力的に活動し、
世界中のアパレル業界人達にその名を知られる国際的ビジネスマン/発明家に。
国内でも2016年にテレビ東京系の人気番組
「カンブリア宮殿」に出演した事で、アパレル・ファッション業界だけでなく、
幅広い分野のビジネスマン、その他国民の間にも、その偉大さが伝わった。
 
 

2017年に社長から会長へ(息子に所長業を託す)

 
 
2017年3月に80代を迎えたのち、
同年春に2代目社長職を長男の島三博氏に譲り、自らは代表権をもつ会長へと移行。
 
会長移行直後の2017年秋には「旭日中綬章」を受勲。
 
2023年春には会長職からも離れ、
夏からは名誉会長に就任する事が報道された。
 
 

 
 
なお、生地裁断後の「余り布」の廃棄問題をはじめ、
2020年代に入ってからアパレル業界に対して
地球環境を汚さないサステナブルな取り組みが強く求められるようになった中、
正博氏が発明した「ホールガーメント(カットロスが少ない)」はますますの注目を浴びている。
(島精機のホールガーメント横編み機は、手袋・ソックスなどの簡易製品だけでなく、現在ではネクタイ・カバン・財布などにも対応)